平成 27 年4月に消費税法の一部が改正されました。
その中から平成 27 年 10 月 1 日以後に適用される「国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し」について触れたいと思います。
ポイント① 「電気通信利用役務の提供」と内外判定基準の見直し
電子書籍・音楽・広告の配信などの電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供を「電気通信利用役務の提供」と位置付け、その役務の提供が消費税の課税対象となる国内取引に該当するか否かの判定基準が、役務の提供を行う者の事務所等の所在地から「役務の提供を受ける者の住所地等」に見直されます。
ポイント② 課税方式の見直し(「リバースチャージ方式」の導入)
「電気通信利用役務の提供」に関する課税方式が、国外事業者が行う「事業者向け電気通信利用役務の提供」についてこの役務の提供を受けた国内事業者に申告納税義務を課す方式(リバースチャージ方式)に見直されます。
「事業者向け電気通信利用役務の提供」とは、役務の性質又は当該役務の提供に係る取引条件などから、この役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものとされています。
また、「事業者向け電気通信利用役務の提供」を行う国外事業者は、この役務の提供について役務の提供を受けた国内事業者が納税義務者となる旨を、あらかじめ表示しなければならないこととされています。
なお、リバースチャージ方式は、経過措置により当分の間は、この課税期間について一般課税により申告する場合で、課税売上割合が 95%未満である場合にのみ適用されます。
この課税期間について、課税売上割合が 95%以上の事業者や簡易課税制度が適用される事業者は、「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合でも、経過措置により当分の間は、その仕入れがなかったものとみなされますので、この仕入れについては、申告の際に考慮する必要はありません。
ポイント③ 登録国外事業者制度の創設
今回の課税の見直しに伴い、国外事業者から提供を受けた「電気通信利用役務の提供」のうち「事業者向け電気通信利用役務の提供」以外のものについては、登録国外事業者から提供を受けるもののみが仕入税額控除の対象となります。
登録国外事業者の登録制度は平成 27 年7月1日から施行されますが、登録した登録国外事業者の事業者名等については、登録次第、国税庁ホームページで公表されます。
登録国外事業者に該当しない国外事業者から受けた「事業者向けの電気通信利用役務の提供」以外のものについては、仕入税額控除の対象となりませんので、申告を行う際は注意が必要となります。
なお、国外事業者が、平成 27 年4月 1 日前に締結した電気通信利用役務の提供に係る契約に基づいて、平成 27 年 10 月 1日前から同日以後引き続き行う電気通信利用役務の提供に係る消費税については、改正前の消費税法が適用される旨の経過措置が設けられています。
その他、納税義務の判定などに所要の経過措置が設けられています。
税制改正により、これまでとは異なる手続きが必要となる場合があります。
何かご不明な点ありましたら、お気軽にお問い合わせください。
参考:国税庁HP
監修:税理士法人武内総合会計